インド・聖地バラナシ紀行①
バラナシは、破壊と創造の神シバの聖都であり、ヒンズー教最大の聖地である。
ガンガー(ガンジス河)に寄り添うように栄えてきたこの街の歴史は古く、
三千年にわたり、ヒンズー教徒による長い巡礼の目的地とされた。
街には三千を越す寺院や祠があり、年間百万人を超える巡礼者が訪れる。
巡礼者は聖地バラナシをカーシーと呼んだが、これは「霊的な光にあふれた街」を
意味している。
バラナシを貫く、祈りと救済の河ガンガー。遥か彼方のヒマラヤの麓で河となり、
大陸に緩やかな弧を描き、ついにはベンガルの大海に融ける母なる河。
ヒンズーの信仰によると、聖河ガンガーで沐浴すると、すべての罪は清められ、
さらにこの地で息絶え、遺灰が流されると輪廻からの解脱を得ることができる
という。
ヒンズー教徒にとって、宗教・文化・思想・生活の基盤になっているのがガンガー
であるが、私がこの地を踏んでまず驚いたのがそこに住む人々の「濃厚な」顔
だった。