インドで結婚式に招待される
インド人の結婚式に対する気合いの入れ方は凄まじい。
私の住む高層アパートでも3日間連続で、夜中じゅうスピーカーから
演歌の大音響が流れ、不眠に悩まされたことがある。
1週間連ちゃんの場合もあるらしい。
昨日会ったばかりの営業補佐のジェナ君。
彼は今日も私の所にやってくると、恭しい態度で豪華な赤い封筒を差し出した。
「なんだいこれは?」
「妹の結婚式に是非出席して欲しいと思いまして・・・」
「そりゃ、おめでとう!光栄だなあ、是非出席させてもらうよ」
私は内心驚いたが、断るのも悪いので、とりあえずそう返事をした。
「ところで、日程はいつなんだい?」
「1月5日の朝からです」
「そうか、休み明けの忙しい時だな」
「そうです」
「ちなみに、君の実家はここから、どのくらいの距離なの?」
「3000キロくらいです」
「えっ、インドの3000キロって、日本からシベリアに行くくらいの
イメージじゃないの?」
「私の実家はオリッサ州なので、最低3日は休んで下さい。飛行機で行かれる
場合でも、空港から車でデコボコ道を5時間掛けていくので、一日で
到着できるとは限りません」
「えっ???君はどうするの?」
「電車で行くので、片道2日は見ています」
「と言うと、仕事をほったらかしで、1週間休むという訳か?」
「いいえ、2週間です!」
「あっそう・・・・」
私は仕事の都合があり断腸の思いで招待を断ることにしたが、
インドでは日本の常識は通用しないことを思い知ったのだった。