【海外で働く!就活日記】海外就活の際の心得まとめ

豪州の現地企業に就職が決まった私のささやかな経験による海外就活の際の

心得を、以下の通りまとめてみた。欧米などの西洋諸国でも、同じことが

当てはまるに違いない。

 

【職探しの方法】

多くの国では日系のリクルートエージェントも存在するが、多数の在留日本人が

登録している上、求人企業が少ないため、なかなか求人先を紹介してもらえない

だろう。(私の場合、半年で3件の紹介があったが、そのうち2件は不特定多数の

日本人に対する一斉メールだった)

 

従って、現地の求人サイトで、次から次へと応募する必要がある。(私の場合、

求人サイト経由の方が、圧倒的に企業側からのアプローチが多かった)

現地の求人サイトを見ると、企業が直接人材募集しているケースだけでなく、

現地のリクルートエージェントが募集先の企業名をふせて、「この会社はある

グローバルな食品会社で・・・」というような表現で募集していることも多い。

 

【職種に関して】

海外では職種が非常に細分化している。

日本では文科系の人間であれば、企業に対して営業とかマーケティング(要するに

ジェネラリストという名の何でも屋)の仕事を志望する場合が多いだろう。

しかし海外ではSalesと言えば、一般的にはField Sales(得意先に対して足を運ぶ

営業マン)であり、Marketingと言えば、広報・宣伝部の仕事に近いだろう。

そして私の見立てでは、これらSalesやMarketingの仕事は、「言葉」が命の仕事で

あるため、バイリンガルレベルでないと極めて採用が難しいと思われる。

一方で、日本人の緻密さや正確さを生かすことのできる職種として、

Business Analyst, Accounting, Product Planner, Merchandiser, Logistic Job,

Inventory Controller, Demand Planner, Japanese speaking administratorといった

職種も多数存在するので、これらに応募するのも手かもしれない。

一般的に企業の物流部門やIT部門、経理部には多くの移民が存在するが、

営業、マーケティング、人事部などは現地人(バイリンガル)が大勢を占めている

ものである。

 

【希望職種】

海外では、過去の職歴・スキルが非常に重視される。

私は就活中に、「給料の高いマーケティング職は難しそうだから、倉庫番でも

申し込んでみるか」と思って、何度もそうしたが、過去に倉庫番をした実績も

スキルもないため、1件たりとも応募先から連絡が入ることはなかった。

まったく違う畑で一からスタートするというのは日本ではあり得るが、海外では

非常に困難だろう。要するに、海外ではより専門性が重視されるのである。

 

【履歴書】

私はワードで自分で履歴書を書いたが、リクルートエージェントにお金を払って

推敲させることもできる。私個人の感想だが、自分で履歴書も書けなければ、

現地企業に採用されることは難しいだろう。

ちなみに、私はインド勤務時代に、インド人を採用する側だったが、基本的に

履歴書では彼らの過去の職歴しか見なかった。多くの面接官は忙しいので、

そこだけ見て、面接に呼ぶかどうかを判断するのが一般的だろう。

実際、私の堅苦しい日本人英語の文章でも、現地人の面接官から何度か連絡が

入ったことを考えれば、履歴書に書かれた英語の文章力はあまり重要ではない気が

している。

 

【カバーレター】

履歴書以上に重要なのが、カバーレター(志望動機や自己アピールを書いたA4一枚程度の作文)と言われている。少なくとも豪州ではカバーレターは必須であるが、

当該国でこれが必要かどうかを確認することが重要。

なお、履歴書とカバーレターの参考文章はネットで検索すれば、たくさん出てくる。

 

【海外就活時の心得(メリット)】

本ブログで何度も繰り返しているように、西洋(すくなくとも豪州)では、

人種・性別・年齢・結婚・子供の有無などプライバシーにまつわることは聞かれな

い。法律に抵触するからだ。(ただし、一部の現地日系企業はその辺を理解して

おらず、聞いてくる場合がある)

だから、年齢が40才を過ぎていても、引け目を感じることはない。特に日本人の

場合、若く見えるのも追い風だ。

 

【海外就活時の心得(デメリット)】

日本でも同じかも知れないが、採用までには時間がかかる。半年は見ておくべき

だろう。これは移民だけでなく、現地人でも同様なのだ。求人サイト経由で企業に

履歴書を送っても、1ヶ月間音沙汰がないことなどざら。

私の場合、6ヶ月の間に、100社余りに履歴書を送ったが、電話やメールで

関心を示してもらえた会社が6社、そのうち1次面接に持ち込んだのが3社

(日系企業2社とローカル企業1社)、そして二次(最終)面接に持ち込2社と

いう確率だった。

 

【英語力について】

言う間でもなく、英語力は非常に重要だ。最低でもビジネス英語レベルでなけれ

ば、異国でできる仕事は非常に限定的になるだろう。仮にめでたく面接を突破

しても、その後の仕事で成果を上げなければならなければ解雇の可能性もある。

なお面接にあたり、TOEICや英検などの試験結果などまったく関係ない、という

ことも認識しておく必要がある。低得点では無論論外だが、バイリンガルでない

限り、たとえTOEICで900点以上あっても、現地人から見れば「英語を母国語と

しない人々」のカテゴリーに入ることになるだろう。

 

私は日本人でTOEIC満点の人(彼はバイリンガルでない)を知っているが、

彼ですら現地のローカル企業で勤める場合、どうしても英語がネックとなって

現地人と太刀打ちできない局面が多くあると考えている。、彼はローカル企業

ではできる仕事が限定的となり、結果的に昇進や高い給与の所得が難しいと踏んで

おり、現地の日系企業に就職したが、私は彼の考え方は基本的に的を得ていると

思う。

 

とは言え、必要以上に英語力に卑屈になることはまったくない。アメリカも豪州も

移民を受け入れている国は多国籍国家だ。面接官もエイジェンシーも次から次へと

移民を相手にしており、移民にバイリンガル並の英語力を求めているとは思われな

い。専門性やスキルがあれば言葉のハンディは乗り越えられるだろう。

 

【海外面接時の心得1】

自己紹介、志望動機、過去の職歴は必ず聞かれるので、英語で丸暗記しておく!

日系企業の日本語での面接でも、どこかのタイミングで「それでは英語で自己紹介

して下さい」と言われるものだ。

 

【海外面接時の心得2】

面接には手ぶらで行かない!

その会社で自分がしたいアイデアなどをまとめた資料や関連書類などを持っていくと

ヤル気を評価されるだろう。あるいは前職の会社のパンフレットを見せながら、

「私はこんなスタイルの営業をしていました」などと言うことで話がはずんだり

する。ビジュアルでモノを見せると面接官の注意がそっちに向くので、言葉の

ハンデを隠すことにも大いに役立つと言える。

 

【海外面接時の心得3】

会社概況(製品・サービス)と業界に対する基礎知識を知っておく!

運よく面接の機会が巡ってきたら、その会社だけでなく、業界のこともネットで

調べるべし。「当社のライバルはどこか知っていますか?」なんてことはよく

聞かれる。

 

【海外面接時の心得4】

自分を大きく見せる!(時にはワルになり、誇大表現をする)

日本人のほとんどは謙虚であるため、「英語は話せませんが・・」「バイトの経験

しかありませんが・・・」といったように自ら卑屈になる傾向があるが、他民族の

やり方は逆である。彼らはマンネン平社員なのに、「私はマネージャーでした」

とか「小生の営業力で年間1億円売りました」といったことを平気で言う。

もしも日本で5年派遣をやっている場合でも、彼らがそれを履歴書で書く場合、

「10年間正社員をやっていました。したがって、こんなスキルもあんなスキルも

あります」と堂々と言うはずである。実際、そのように言ったところで、

面接官は異国の会社の名前も知らないし、その発言がどこまで正確か裏を取ること

もしない。

お利口さんのやり方に異論はないが、それだけでは海外ではサバイバルできない

だろう。

 

【海外面接時の心得5】

相手の目線に合わせる!

日系企業の日本人面接官の場合は、自分を大きく見せると裏目に出ることがある

ので要注意である。「そんなに立派な経験があるなら、当社にはtoo muchだろう」

というように、企業側の方が卑屈になる場合がある。日本人面接官の場合は、

和と協調の精神をもって臨むのが無難だろう。

 

【海外面接時の心得6】

電話での英語の聞き取りはバイリンガルでない限り困難なものである。

突然、電話面接の電話が入った時など、「今電車の中なのでよく聞こえない

ため折り返し電話します」といって時間を稼ぐのも得策。

直接面接の住所などをメールやSMSで 送ってもらうのも不自然なことでは

ない。

【海外で働く!就活日記】最終面接突破

二次(最終)面接にいくと、会社のレセプションの前で棒のように突っ立って

いるアジア人男性の後姿があった。

「ソファーにも座らず、無人のレセプションの前で、受付嬢がやってくるのを

直立不動で待ちわびているとは、きっと彼は日本人に違いない。だとしたら、

彼も最終面接を受けるライバルだ!」と私は踏んだ。

 

華奢な後ろ姿の彼は、今時の洒落た紺色のスーツを着てそのまましばらく立って

いたが、私が彼の背後でソファーに座っているのが気になったのか、やがて

私のソファーの横に腰をかけた。

彼の横顔をチラ見すると、ジャニーズ顔のイケ面である。二宮君(仮称)は、

腕時計を見つめたり、上着のポケットからスリムな手帳を取り出したりして

ソワソワしている。日本語でぶつくさ呟いてもいるので、私のことを中国人か

韓国人と思っているのかも知れない。

 

二宮君は明らかに緊張していた。おそらく私の10倍くらいは緊張していた

だろう。彼にとっても千載一遇の最終面接の機会に違いない。受付嬢がやって

来ると、二宮君は私の後から最終面接を行う社長のアンドリューに取り次いで

もらっていたが、手違いで若い中国系のアンドリューが現れると、二宮君は

再び直立不動となって「あーでも、うーでもなく」、無言のままガンを飛ばす

ものだから、髭面のアンドリューも「なんじゃ、貴様!」と言わんばかりに、

ガンの飛ばし合い。

 

私はこの時点で勝算は高いとみていた。それは二宮君が緊張しているからでは

なく(緊張が好感を呼ぶことはある!)、「手ぶら」でやってきたからだ。

持っているのは上着に隠した手帳だけ。

それに対して私はここが勝負と見て6時間ほど費やし、「この会社でこんな

営業活動をしたい」といった趣旨のプレゼンテーションを用意していた。

(時として「やり過ぎ」がアダとなる場合もあるのが就活であるが、私の

この時の心境は、そんな会社なら入らない方がいいという気持ちで、プレゼン

を用意していた)

 

最終面接は、私からスタートしたが、幸いこのプレゼンは大いに役立った。

社長との面接ではあっという間に30分が経過。

その後二宮君の番となるものの、たったの10分足らずで終了。しかも彼は

会議室から出て来た途端、エレベーターの前で立ち往生しながら鬼の形相で

辺りをキョロキョロと見渡している。

 

「トイレを探しているのか?」見ず知らずの中国系のおばちゃんが声を掛けると、

二宮君は「イエス」と蚊の泣くような声で言って、猛然とトイレに駆け込んで

行く。結局、これが私が二宮君の姿を見た最後だった。。

 

それから1時間後、リクルートエージェンシーからの電話が鳴り、私はこの会社

に正式採用されたことを知った。

しかしこれからしばらくの日々、二宮君が携帯とにらめっこしているでであろう

ことを考えると、彼のことが少なからず気の毒になった。

 

【海外で働く!就活日記】1次面接合格

一次面接に行くと、アジア人の顔をした面接官だった。

流暢な英語を話すことから、生まれ育ちがオーストラリアの移民二世であるに

違いなかったが、それでもパツ金でなくてホットするのは、日本人の性か。

その面接官は、私の履歴書を見ながら、過去の職歴や志望動機、あるいは当社の

求める仕事ができるか?といった当たり前のことを聞いたが、やはりここは

西洋の文化であり、年齢については一切聞かれない。年齢、人種、宗教などを

聞くことは法律違反になるためだ。

面接は20分程度で終わったが、気が付けば面接官が7割くらい喋ってくれた

ので、私は時に神妙な顔をし、時に微笑みを浮かべて相槌を打つことに徹し

まくった。

その甲斐あってかどうか、その場で翌々日の二次面接(最終面接)に来てくれ

と言われた。私の他にも日本人の最終候補者がいるとも言われたが、初めての

最終面接に私の期待は否が応でも膨らんでいく。

月曜日にリクルートエージェンシーのクリスから電話があり、同じ週の金曜日

には最終面接。この会社は勢いのある新興企業だけあって、スピードが速い。

私はこのようなスピード感覚が気に入った。

【海外で働く!就活日記】急展開を見せる

最終的に4ヶ月にわたって100社を超える企業に履歴書を送ったが、

これといった進展はなかった。世界的に知名度のある食品会社からは

(1次面接前にふるいにかける電話がかかってきたが)運転中だったため

すぐに折り返したものの、先方(オーストラリア人の女性)は会議中。

彼女は「折り返し電話します」と言ったものの、二度と掛かってくることは

なかった。

あるいはアパレル企業からも電話面接したいと言われたものの、同じ日に

日系企業の最終面接(結局は落ちた)があり、こちらから断らざるを

得なかった。

また、変わったところでは、シドニーに拠点のあるIT企業から電話がかかって

きたが、その企業の人材採用担当者はアイルランド在であり、グローバルな

規模でビジネスが動いていることを感じさせられた。結局、その担当者と電話で

話をしたものの、先方は日本語のできる若い(ジュニア)人材を探しているとの

こと。要するに給与条件が合わなかったため、進展はなかった。

 

「ああ、どれだけやってもダメか!」私は異国での就職活動に絶望的になり、

諦めモードに入っていた。

と、そんな時、潮の流れは変わった。(就職活動というもの、どんなに停滞して

いても、潮の流れが一気に変わるのが不思議である)

 

月曜日の朝イギリス人のクリス(仮名)からメールがあった。

クリスはリクルートエージェンシー(人材紹介所)の担当者で、日本語のできる

人材を探しているあるオーストラリア企業のために営業職の人材を募集していた。

(海外での人材採用の場合、企業が直接ネットなどで採用活動をしている場合も

あれば、リクルートエージェンシー(人材紹介所)が介在していることもある)

 

クリスには2日前に履歴書を送っていたが、「まだこのポジションに興味が

あるか?就労ビザと運転免許は持っているか?」という彼のメールに対して返信

すると、1時間後には携帯に電話が入った。

そして簡単に過去の職歴などを聞かれ、先方の求める営業の仕事ができるかどうか

質問されたのだが、再び1時間後に電話が入り、「2日後の水曜日に先方との一

次面接が取れた」という連絡を受けた。

 

もちろん、バイリンガルとの電話面接にはビビるものであるが、少なくとも彼の

ようなリクルートエージェンシーの場合は、企業に人を押し込み、コミッションを

もらうことが仕事なので、基本的に私の語学力を品定めしているふしはなかった。

(と言うよりも、リクルートエージェンシーは私に一度も会っていないのに、

求人先の企業に私を推薦して、一次面接の機会を取りつけている)

 

オーストラリアでもアメリカでも石を投げれば移民に当たるが、エイジェンシーは

日々多くの移民に仕事を斡旋している訳であり、最低限の語学力があればなんとか

なることを知ったのだった。

【海外で働く!就活日記】就職はご縁か?

3ヶ月の間に履歴書を70社に送ったものの、進展はなかった。

 

その間、ローカル企業、日系企業を問わず、様々な業種を当たった。

メーカー、通信、金融、自動車、IT、食品、物流、日本語教師などなど・・・

 

また、様々な職種を当たることとなる。

Sales, Marketing, Product Manager, Business Analyst, Data entry, Logistic,

Warehouse job, Demand planner, Inventory controllerなどなど・・・

 

これまで70社に履歴書を送ったものの、多くの会社からは返事すらなく、

面接まで漕ぎつけたのは2社のみ。しかも面接後、その2社から採用される

ことはなかった。

 

このような苦しい状況になると、とてもじゃないが業界や職種を選んでいる

余裕はなくなる。無論、好みや希望はあるが、あまり気が乗らない業界でも

「とりあえず履歴書だけでも送っておこう」となる訳だ。

 

それと同時に、今から20年も前、大学生の時に行った就活でも同様のことを

感じたが、やはり「なるようにしかならない」という心境になり、就職は「ご縁」

という気持ちが強くなる。

 

以前勤めた会社も自分の望む第一志望の会社ではなかったが、結果的に17年も

勤務し、自分なりにやり甲斐を持ちながら、社会人として成長させてもらったこと

を考えると、確かに「ご縁」があったのかも知れない。

 

もしも人生に偶然はなく、すべてが必然であるとするならば、きっと次の会社

ともなにがしかの「ご縁」があるはずであり、そこで人間としての成長が促せる

はずである、と信じることにする。

 

どんな会社が現れるのか、楽しみである!!

海外で働く!就活日記 ● IT系の日系企業

就職斡旋エイジェンシーから電話があった。

「IT系の日系企業が日本人顧客相手の営業マンを一名募集しています。

ITの専門知識がなくても大丈夫なポジションだそうです」

「いいじゃないか!」私はその会社まで早速面接に向かった。

いきなり現地法人の社長が現れたところをみると、いきなり最終面接。

商談中の営業部長もあとから合流すると言う。

「こりゃ、話が早いや。やはりIT系の会社だけのことはある」

 

社長の年齢はおそらく40代中盤と若く、以前ジジババが多い家電メーカーに

勤めていた私は新鮮な感じを受けた。

社長との面談では過去の経歴などをひとしきり聞かれたが、感触は非常に

よかった。

「ITの知識はさほど重要ではないけれど、我が社では社会人の経験がある即戦力

が欲しい」とか「引っ越しの時に呼ばれるので、家電の知識があればあるほど

いい」などと、私に好感を持っていると思われる発言が幾つかあったからだ。

 

こうして社長との面談が無事に終わりかけた頃、商談中の営業部長が面接に

加わった。

「えっ?この人が営業部長なの?」営業部長と言えば、うるさ型のうっとうしい

オヤジしかイメージできなかった私は面食らってしまった。

(私の霊視によれば)渋谷のブティックのカリスマ店員風のその女はおそらく

30才中盤で、コギャル出身。たいして勉強もせずにそこそこの有名私大に

潜り込み、大学時代に短期留学した経験を錦に、時代の追い風に乗った

大手IT企業に運よく採用される。

日本でオペレーラーを勤める派遣社員200名を統括するマネージャーとして

頭角を現し、グローバル時代の到来と共に、再び時流に乗って海外駐在員となる。

色気を武器に社内のオヤジに食い込みながら、地位と金が人生のすべてであると

信じているが、付けまつげと化粧が剥がれた瞬間、あっと言う間にバケの皮が

剥げてしまうタイプ。

「よろしくお願いしまーーーす!」彼女(以下、ドン・キホーテと呼ぶ)は

私にも媚びるような上目づかいで挨拶した。

「売上のストレスとかって大丈夫ですかーー?」

「数字の方もだいじょうぶーー?」

「チームの中で提案とかもしてもらったりしてるんですよー。できますかあー??」

「Can you introduce yourself ? 一応英語力のチェックもさせて頂いているん

ですよー」

そして私が1分英語で自己紹介すると、「オッケーで~す!」

「あと一個、質問していいですかー?ゴルフはするんですかー???」

「えっーしないの!?しようよー」

 

ちなみにこの会社は日本人であれば誰も知っている会社である。

私は業界や会社が違うと、本当社風が違うことを知って、楽しくなった。

「こんな会社で働いたら楽しいだろうなー」と。

しかし結果的に私は落とされた。

面接は終始なごやかに進み、先方の質問はすべて想定済のものだったので、

すべてうまく答えられたように思う。

私に足りない点があるとしたら、ITの専門知識がないことだったが、

その点についてはドン・キホーテも「研修があるから大丈夫でーす。

今活躍しているのは、ITのことを知らなかった人達ばっかりでーす」

と言っていた。だとしたら、ゴルフか?幾らなんでもそんな訳はあるまい。

 

私が察するに、面談後、社長とドンキの間で以下のような会話が交わされた

のではないか?

社長「ドンちゃん、今の人どうだった?」

ドンキ「いいけど、私の年上ですよねえー」

社長「チーム内でのバランス取れそう?」

ドンキ「ちょっと重いですかねー。大企業出身でプライド高そうだし。

自分の実績をやけにアピールしてませんでした?」

 

負け惜しみを承知で言うと、このような判断(年上、重い、プライド、

組織のバランス、アピールし過ぎなど)は日本企業でこそ働くものの、

海外の会社ではまずないと言える。

むしろ自分の経験・スキルなどを積極的にアピールしない限り、誰も相手に

してくれないものだ。

 

とは言え、我が国日本の企業やドンキを批判したところで一銭にもならない訳であ

り、自分の経験・スキルを多少積極的にアピールし過ぎたことが反省点だと感じる

私には、一抹の淋しさが残った。

【海外で働く!就活日記】就職斡旋詐欺にご用心

オーストラリアの主力産業は、石炭や鉄鉱石などの天然資源の輸出であり、

その業界はすこぶる羽振りがよいことで知られている。

私のオーストラリア人の知人の同窓生はブリスベンにある天然資源会社に

勤めていたが、幹部クラスということもあり会社のクレジットカードを携行

し、どこの馬の骨とも分からぬ私にさえ河辺のホテルで最高級のステーキと

ワインを振舞ってくれた。まあ言ってみれば、バブルだった日本と同じ活況

を呈しているのだろう。

 

さて、オーストラリアのネットで、就職斡旋サイトを検索すると、

「Mining Job 平均年収1000万円!今すぐ登録を!」というサイトが

ポップアップされる。

私はすぐに登録手続きを始めたが、名前や住所や希望職種などをインプット

した後、突然画面が切り替わり、登録費用$220と出てきた。

私はこのサイトはペテンなのか?それとも登録者の本気度を試しているのか?

判断が付きかねたが、試しに$220を払って登録してみた。

(この時、たったの$220をケチったばかりに、1000万円をお釈迦にし

てしまう愚を犯すべきでないという心理が働いたのは事実である)

その結果、以下のメールでのやり取りが先方と始まった。英語の文面を読む

限り、相手は比較的若い陽気な兄ちゃんである。

 

①天然資源業界の一般情報(職種や想定給与)などが書かれた100枚近いPDF

 のレポートが送られてくる

②その後、どんな仕事をしたいか聞かれる。

③その後、履歴書を先方に送ると、何度か手直しが要求される。

④その際、推薦人(Reference)の名前を入れることをくどいほど要求される。

⑤その後、なにか資格を得るべきだと勧めてくる。

⑥私が「オタクは就職を斡旋してくれるつもりがあるのか?」と聞くと、

まずは自国の犯罪証明を取得することをお勧めすると言う。

⑦さらに食い下がると、indeed.comという誰でも知ってる就職斡旋サイトを

紹介してくる始末。

 

①~⑦まで2ヶ月程度かかったが、とどのつまり、ペテン氏であった!

どこの国にも人間の欲望や業に巧みに付け入り、お銭を掠め取る汚い輩はいる

ものである。

前回ご紹介したサウジアラビアで年収1000万円の夢が潰えた今、豪州内の

鉱山地帯でビール片手にその夢を達成しようとしたものの、オイシイ商売には

やはり裏があるものだ。

蛇足であるが、「素人さん歓迎!資格の要らない女性マッサージ師募集」と

いうのも怪しいと見て間違いないだろう。