インドの分業体制
インドはとにかく人が多い。どこに行っても人、人、人。
そして人が多い分、分業体制が徹底しており、仕事が細分化されている。
その様子はカースト制度を彷彿とさせる。
会社に行っても日本でのように何から何まで自分ひとりでこなす
必要はない。食堂には茶坊主が何人もいて、ちょっと手を上げるだけで、
ミルクティーやコーヒーを作ってくれる。
道端で何か困ったり、分からないことがあっても、見知らぬ通行人に聞けば、
その人間が、他の人間に確認し、他の人間が、また別の人間にバトンを渡して、
最後には何とかなるような、いい意味でのいい加減さとフレキシビリティーが
ある。
ある時、私は手持ちのルピーがないことに気づき、海のものとも山のものとも
分からない会社事務所に入って米ドルからの両替を依頼すると、そこの若者が
携帯でどこかの人間に電話し、20分も経つとバイクで現れた青年が両替して
くれた。
スーパーの小僧は、購入した品物を載せたトロリーを引きずって、300メートル
先の我が家まで、デリバリーしてくれたが、50ルピーのチップを渡すと喜んで
帰って行った。
金持ちのインド人が怠惰に見えるのは、自分の身の周りのことでも人任せにする
ことに慣れきってしまっているからなのかもしれない。