禁じられた遊び

 先日、子供と大阪の公団住宅の中にある公園に野球をしに行ったところ、それまで見たことのない看板が立っていて、「野球はキャッチボールのみ。テニスは軟式のみ。サッカーはうんぬん」といった警告文が書かれてあった。

 その公園の立地からして、よっぽどのことがないと、団地の窓までボールは飛んでいかないと思われたが、ここ何十年かのうちに先日初めてボールが窓ガラスに当たって、割れたのかもしれない。

 私の子供の自分は、万が一ガラスを割ったとしても、謝るか、弁償すればよかった話が、今のご時世ではそうはいかない模様。度量が狭いし、息苦しい管理社会になったものである。

 あまりにバカバカしいので、私は看板を無視して子供とバットを使って野球をしていると、案の定、団地の住人らしき男がやってきた。

 文句を言う輩がいるとしたら30代か40代の良家の子女かお坊ちゃまかと踏んでいたが、意外にも70代前後とおぼしい爺やだった。

 爺やは鬼の形相で、「看板が目に入らぬのか!」と水戸黄門よろしく言っている。

 肛門様は看板の内容なんかどうでもいいが、看板に書かれたルールを破っていることが許せない模様。学校にも会社にもよくいる絶対正義党の信奉者である。

 ここで言い争っても勝ち目はないので、近くの交番に、小学生がバットを振れる公園が近くにないか聞いたところ、「最近、ほとんどの公園でこのような看板が立っているんですよ」と警官はあきれ顔で言った。結局、バットを振るためには、電車にとって、遠くの河川敷まで出なければならなかった。

「子供は家の中でテレビゲームばかりしている」と言われるようになって久しいが、そうさせているのは、一切の危険を排除し、度の過ぎた管理社会を作り上げてきた大人ではないのだろうか?