インド・エローラ遺跡
アジャンタの前期窟が紀元前1世紀頃、後期窟が紀元5世紀に開かれた
から、756年に工事着工されたエローラはその弟分にあたると言える。
アジャンタが仏教遺跡群であるのに対して、完成に1世紀以上も要した
エローラにはヒンズー教と仏教とジャイナ教の遺跡群が横一列に並ぶ形で
同居している。異なる宗教の遺跡が、同じ場所に仲良く同居しているのは、
宗教に寛容なインドならではの光景だろう。
中でも一番の見どころは、エローラ遺跡群の中央に建立されている
ヒンズー教のカイラーセナータ寺院。
アジャンタでは、遺跡に入った瞬間仏教の「無」の極みを感じて身震い
したが、この寺院の壮麗さと迫力にも息を飲んだ。やはり世界史の教科書に
登場するだけあって、ピラミッドやアンコールワット、マチュピチュ級の
世界遺産と言えるだろう。
アジャンタに比べて迫力を増したかに見える仏教遺跡も、世界でもっとも
禁欲的な宗教と言われるジャイナ教(僧侶は全裸で修業)遺跡も思わず人を
静寂の空気に包み込む。
(仏教遺跡)
(ジャイナ教遺跡)
アジャンタ・エローラを巡る多くの旅行者は、オーランガバードを起点にする
だろうが、せっかくそこまで行くのであれば、2日間かけて両遺跡を巡りたい
ところだ。どちらも甲乙つけがたい。
私は初日にエローラ、二日目にアジャンタを巡ったが、(静寂の)アジャンタ
⇒(迫力の)エローラの順の方がよいかも知れない。
デカン高原の頭上を照らす太陽は熱い。