インドの水
日本では来客者にお茶を出すのが一般的だが、インドでは水は貴重品であり、
来客者に水を出すのがもてなしとなる。
現代のインドでは特に富裕者層であれば、ペットボトル(大型タンクもある)
や浄水器(電気式からフィルター式まで多様)の水を飲むことが多いが、
蛇口水を飲む場合でも、いったん煮沸してからコーヒーやチャイにして飲む。
昨今では、テレビなどを通じた医者の啓蒙も多く、ほとんどのインド人は水に
意識的なのだ。
私は商談の際にインド人から出された(出所の知れぬ)コップ一杯の水を嫌と
いうほど飲んだが、そのこと自体で下痢になったことは一度もない。
とは言え、インドには中産階級以下の人間の方が圧倒的に多い訳で、彼らの
半数程度は蛇口水をそのまま飲んでいると推定される。
日本人がインドに行く場合、高級ホテルでシャワーを浴びる間も目をつぶる
くらいだから、蛇口水を飲む人はまずいないが、それでも日本ではありえない
激しい下痢をするのは、やはりこれまで何回も述べてきたように複合的な
要因—猛暑、香辛料、街の激しい景色、騒音、カルチャーショックなど—
によるものだろう。
ちなみにガンジス河で出会った40年放浪中のヨギの大聖も、私と一緒に
デコボコを道の旅を何日か続けた後、風邪を引き、腹の調子がおかしくなった
こともあるので、日本人諸氏におかれては大威張りで下痢にかかって頂きたい。