あるタイ人の性モラル

バンコクのジメジメとした暑さに耐えかねた私は、海を求めてリゾート地として

有名なパタヤにやって来た。バスで3時間の近場であるが、長いビーチが続いて

おり、南国特有の開放感が漂っている。

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私は繁華街から少し離れた場所にある閑静な通りの一角にある宿に宿泊して

いたが、そこで泊まり込みのバイトをしている「マナ」という名前の17才の

男と仲良くなった。

マナは、華奢で、いつも白い歯を見せて笑っており、タイ人の典型のよう。

私をバイクの後ろに乗せてパタヤの街を周遊してくれたり、安くて美味い

レストランに連れて行ってくれたり、私の部屋までメコン酒を持って

来てくれる。

私がパタヤに5日ほど滞留していた日の夕刻、マナは私の部屋をノックして

言った。「ちょっと、ぼくの部屋に来てくれないかなあ。彼女が遊びに来たから、

紹介するよ」

そこで早速、私はマナの後について彼の部屋まで行ってみた。

この一見ひ弱で頼りないマナにどんな彼女がいるのだろうと興味深々だったのだ。

そして彼の部屋に入ってみると、プロペラのような天井扇から流れ出るそよ風に

吹かれて、膝上までの白いワンピースを着た色白でふくよかな女性が、ベッドの

上で足を投げ出して横座りしていた。

「すげー?こんなにセクシー美女だったの?」私はマナの耳元で囁いた後、

彼女に「サワッディー」と挨拶した。しかし彼女は小さく頷くだけで、俯き加減

で長い豊かな黒髪を垂らしたまま、はっきりと顔を上げない。

「What’s your name?」せっかくなので私は名前を聞いてみたが、彼女は

よっぽどシャイなのか、うんともすんとも言わなかった。

「英語は全然分からないんだ」

「バイバイ!」私は手持無沙汰に部屋を出たが、マナは部屋の扉を閉めた直後に

驚くべきことを言った。

「今夜、ぼくの彼女と寝ていいよ」

「えっ!?」

「一晩貸してあげる。彼女にはもう言ってあるから」

「ちょっと友達になっただけで、ここまでするのか?」私は驚愕しながら独り言ち

た。きっと、彼女はマナに言われることなら、なんでも受け入れるのだろう。

タイ人は性に対して大らかだという噂は常々聞いていたが、やはりそうなのかと

いう気持ちに私は傾いていった。

それと同時に、さっき彼女に挨拶した時、あまりの反応のなさに、

「もしかして、彼女は私のことを拒絶しているのではないか?」と一瞬思ったこと

が正しかったことにも気がついた。

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