ピーラーの効用
小学生の頃、夏休みの課題図書一覧の中に、「金閣寺」や「雪国」や「罪と罰」
などの難解な古典的書物が多数入っていたが、あれはなんだったのだろう?
よほどの秀才でもない限り、このような書物をまともに理解できる小学生は
いないのではなかろうか?
少なくとも、私はそうで、小学生の時にこのような本を我慢して読んだために、
成人するまで読書アレルギーが身についてしまったと言える。
(もっともそれがコンプレックスとなって、成人してから本を読むように
なったのは皮肉ではあるが)
このように子供の時に身についた習性とは怖いもので、その後、何年、何十年も
それに囚われたままになることもある。
私の場合、料理もそれに該当する。小学校の家庭科の実習でやったリンゴの
皮むきが面倒で、うまくできず、うっかりしたらナイフで手も切りそうで、
「料理ってこんなに大変なんだ」という記憶が体に浸み込んでしまったのだ。
料理のできない人、とりわけ男の中には、このような原体験を持った人が少なからず
いるのはないだろうか?何回な書物をいきなり読まされて、読書の楽しみを知らずに
人生を終わってしまう人がいるように・・・
だが、そんな料理不能症に罹っていた私はピーラーによって目を開かされた。
多くの料理の入門者がそうするように、私が初めて作った料理(インスタント
ラーメンやぶっこみ鍋は除く)はカレーだったが、その際世の中にはピーラーと
いうモノがあって、じゃがいもやニンジンの皮をスーイスイとむけることを知った
のだ。
「こんなにスムーズでいいの?料理って楽しいじゃないか!」私はピーラーに
出会っていなければ、二度とカレーを作ることも、その後100種類
くらいまでレシピが増えることもなかったように思う。
「あまりに無知な!」と人は思われるかもしれないが、人生とはこんなものでは
なかろうか?ちょっとしたことが切っ掛けで人生の針路が180度変わったり
する。とにかく、私の人生は百均にもあるピーラーによって豊かになったのだ。
料理をしない旦那(あるいは奥方)をお持ちのあなた、次のクリスマスに
ピーラーをプレゼントしたら如何だろうか?