アマゾンのカスタマーケアに学ぶスピード対応
個人でも組織でも「スピードを制するものが成功する」時代である。
とは言え、とりわけ組織になると意思決定や回答に時間がかかるもので、
困った時に企業やお役所のカスタマーケアに問い合わせたものの、
電話をたらいまわしにされたり、YES/NOがはっきりしなかったり、
返事が来なかったり、ずっと待たされた挙句否定的な答えが来た
という経験はないだろうか?
私の経験では、旧弊の垂直統合型組織や官僚的巨大企業ほどその傾向は強く
なるように思うが、そのような多くの産業や企業(たとえば、ユニクロなどを
除く多くの繊維、家電、出版業界など)が、新しい時代の潮流についていけず、
現在苦境に立たされていると言えないだろうか?
その点、アマゾン・キンドル出版のカスタマーケアは素晴らしい。
私は電子書籍を発売している関係上、そこのWEBフォーマットを使用して、
書籍をアップロードするが、なにか分からないことがあると「お問い合わせ」
ボタンに内容をインプットし、送信する。
すると、「72時間以内に回答します」という自動返信があるが、早ければ
数時間後には書面で回答がある。
答えずらい質問や難解な質問などもあるだろうが、このように「72時間以内に
回答します」という縛りを作ることは、非常にカスタマー・フレンドリーである
と同時に、簡単に出来るようで出来ないことではないだろうか。
これをやるためには、「担当者に責任と権限を与えて任せる」ことが必要であると
同時に、彼らが対処できない場合に、「上司が短時間のうちに判断したり、問題
解決する能力」が求められるからだ。
旧弊な企業では、担当者に任せず、上司も判断しないことしきり。人から人、
組織から組織とたらいまわしなっていくうちに、時間だけが経っていく。
アマゾンのカスタマーケア手法は、いい意味で、アメリカ型のマネジメントの
香りがするが、カスタマーの立場として非常に快適。
担当者自身も日々スピードが求められるため、「こんな案件を相談したら上司は
嫌がるだろうなー。奴の機嫌がいい時までしばらく寝かしておくか。もっとも
相談したところで、奴じゃ判断しきれないか・・・」みたいな抱き抱えを
しなくて済むため、ストレスフリーかも知れない。
現在、出版業界では売上下降が続いている反面、アマゾンをはじめるとする
電子書籍が伸びているけれど、このような取組み姿勢にその傾向が読み取れる
気がするのである。