広告代理店の室長に学ぶ営業マンとしての心得

「相手に物を買ってもらうために、相手を持ち上げ気持ちよくなってもらう」

これは営業の王道である。

 ところが、わざとらしい「おべっか」を使ったり、自分は弁が立つとの自惚れの下、

ペラペラと実のない話をする営業マンがいかに多いことか。

 その点、以前会った(電通、博報堂に準じる)広告代理店X社の国際事業部の室長

Y氏には大いに学ぶところがあった。彼は関口宏に似た温厚な老紳士で、これまで

多くの人間に接っしているためか、非常に人間力があり、人間観察力に長けている。

 一方、Y氏が連れてきた45才の部下であるZ氏は、顔だけでなくガハガハ笑う姿が

テリー伊藤にそっくりだが、名脇役を演じていた。

 

 以下、商談の実況中継。

 

関口宏「失礼ですが、全然(大阪のえげつない)御社の方っぽくないですね。

これまで営業系だったのですか?なんとなく、学者というか、研究者みたいな感じが

するな。そうだろ、テリー?」

 テリー「はっ、はい」

 関口宏「とにかく、今日のご説明は非常にロジカルで、分かりやすかったですよ。

それに声がいいんだ。アナウンサーになってもよかったんじゃないですか。失礼です

が、大学はどちら?ああ、B大学ですか?これもイメージが違ったな。京大か、阪大

かなあと思ったんですけどね。そう思わねえか、テリー」

 テリー「はい、ボクもそんな感じがしてたんですよ」

 関口宏「しかも、学生時代に、学校を休んで1年間も放浪したという。う~ん、

この感じからは、とても分からないな。それにしても、また何でそんなことをしよう

と思われた?20年前のインドはすごかったんでしょうな?

 テリー「力車さんはぼくと同じ世代ですけど、20年前のインドですか~、

すごいだろうなあー」

 関口宏「こら、テリー!、お前みたいに老けたやつが、力車さんと同世代です

なんて言って、失礼だろ!」

 一同「爆笑」

 関内宏「ところで力車さん、就職ははじめから御社が第一希望で?えっ?全然違う

ですって?本当は記者になりたかった?これで合点がいったな、テリー」

 テリー「本当にその通りです」

 関口宏「まあ、力車さんが唯一採用されたのが御社といっても、それが御社なんだか

ら、羨ましい話だ。隣の芝は青くみえるもんですよ。それにしても、改めて今日は

御社の人にあったような気がしませんでしたなあ」

 ◆

とことん相手に寄り添う関口と、ひたすら合いの手に徹するテリー。

私はホストクラブで胴上げされている醜女の気分だった。