海外で働く!就活日記⑤ グローバル人材

私はシドニーの就職斡旋会社の門を叩くことにした。

しかし、すでに43才。以前勤めていた会社を退職してから2年間も無収入で自分の好きなことだけやってきている。

「俺なんぞに関心を持ってくれる会社はあるのだろうか?」」私は相当悲観的な気分でいた。

「もう貯金だって無くなりかけている!自分だけならともかく、家族を飢え死にさせる訳にはいかない!」

ところが、意外なことに、斡旋会社の担当は開口一番こう言ったのだった。

「履歴書を拝見しましたが、一部上場の企業で、あなたのような日本人を求人している会社が一社あります」

私は思わず生唾を飲み込んだ。

聞けばその会社は製造メーカーで、シドニーに子会社を持っているものの、事務所には数名の現地人しかいないため、日本の本社とのコーディネイトをする日本人を採用したいとのこと。海外駐在経験者が望ましいらしい。見込める給料の額もまずまずの模様。

「それでは是非、その会社と面接させて下さい」

私はそう言って斡旋会社を去ると、笑いを噛みしめながらひとりごちた。

「なんだあ、海外の就活ってこんなに簡単だったの?グローバル人材って、なかなかいないみたいだもんな。やっぱり、ひとつの会社で長年やって来たのがよかったんだ!今まで心配していたのがバカみたいだな・・・」

私はそのままシドニーの中華街に向かい、昼間からビールを飲んだ。