海外で働く!就活日記④ 終身雇用制について

私はかつて日系企業の駐在員として4年間シドニーの会社に

勤めていました。

その職場でも年齢、性別、バックグラウンド(出生地、肌色、国籍)

などの差別はありませんでした。

そして改めて気付かされたのは、海外では「終身雇用制」「年功序列」

がない、ということでした。

日本でも「終身雇用制」「年功序列」が崩れ始めと言われて久しいですが、

まだまだ多くの大企業は、旧態依然としてこれらが残っているのでは

ないでしょうか?

シドニーのその会社では、長年勤めている人が要職に就いている傾向は

ありましたが、圧倒的多数の人々にとって、数年で転職し、キャリアアップを

図るのが一般的だったのです。

その様子を見て、私はやはり責任を伴ういい仕事をするには一ヵ所で

長年続ける必要がある、という(いかにも日本人的な)思いを新たに

すると同時に、数年で転職しながらキャリアアップを図れる社会というのは

非常に健全であると思ったものです。

私はその後、自己都合により、17年間勤めたこの会社の親会社を退職

しましたが、それによってどれだけ自由を感じたことか!

将来、転職して給料が半分になったとしても、「終身雇用制」を逸脱し、

新たな世界に飛び込むことは私にとって大いなる魅力でした。

もちろん、同じ会社で40年間勤めあげて自己実現できる人は幸せです。

長年一ヵ所で歯を食いしばってひとつのことを継続することも重要性も分かります。(私だって17年間同じ会社で勤めているので)

しかし、長い人生では、新しいことを始めたいと思ったり、現状の環境に閉塞状況(たとえば、これ以上こんな上司と時間を共にする価値がないと思ったり、出世競争とか周囲からどう見られるといったことばかりにエネルギーを向けている自分)を打ち破りたいと思うことは多々あるはずです。

私は、「会社が人間に従属すべきで、人間が会社に従属すべきでなない」という当たり前のことを、「終身雇用制」を逸脱したことで初めて理解したのかもしれません。

退職する際、多くの同僚から「羨ましい」という本音を聞きましたが、私は彼らが決して辞めることはないと思うと同時に、新しいことを始めたいと思ったり、なにかに失敗した場合でも、何度でも再スタートできる社会であってほしいと思いました。

ただし、シドニーの会社では、突然社長が社員の机に来て、「景気が悪くなったので今日で退職して下さい」と言い、社員が泣きながら事務所を去っていく光景を何度も目にしたのも事実。自由であることには責任が伴うのでしょう。

あなたはどちらを選びますか?