父の死①

「少年ジャイアンツ」に登場する「変わり者」の父が先月、亡くなりました。享年77才。しばらく肺気腫に罹っており、昨年末には肺ガンも併発しましたが、体力が弱っていることが理由で、ガン治療を一切受けず、自宅療養をしていました。入院しなかった理由に、入院するとタバコが吸えなくなるということがありましたが、最期の前日までタバコを吸い続けた姿勢は、ポリシーがあるというか、なんと言うか、タバコを吸わない私にとっても見上げたものだと思いました。

 肺ガンを宣告されてからは、さすがに治療も受けないということもあって、さすがに死を強く意識していたと思いますが、悲壮感をまったく見せず、「三途の河の船頭に渡すチップを残しておかなきゃならねーなー」とか言って自分の財布を確認しながら、プカプカ吸っていました。とは言え、最後の数日には、「手握ってくれ」と言うこともあり、私は生まれてこの方父の手を握ったことなどないので、気恥ずかしいやら、死とはこういうものなのかと、なんとも言えない気持ちになりました。

 呼吸が苦しくなり救急車を読んでから、丸一日で安らかに息を引き取りましたが、最期まで好きなことをして、好きなものを食べて逝ったので、理想的な死に方だったのだと思います。戒名は、明るい性格と、好きだったベートベンの第九(第四楽章の歓喜)、フェリー二の「道」から、「明邦歓道」信士となりました。